ストライド走法
ストライド走法(ストライドそうほう)とは、長距離走で、ストライドの幅(歩幅)が大きい走法のこと。
全身のバネを使って飛び跳ねるように走るが、負担が大きいと言われる。日本では負担の少ないピッチ走法が主流。
なお、競馬の世界においても、競走馬の走り方に対して用いられる。
ストライド走法の競走馬
ディープインパクト
クロフネ
ストライド走法(ストライドそうほう)とは、長距離走で、ストライドの幅(歩幅)が大きい走法のこと。
全身のバネを使って飛び跳ねるように走るが、負担が大きいと言われる。日本では負担の少ないピッチ走法が主流。
なお、競馬の世界においても、競走馬の走り方に対して用いられる。
ストライド走法の競走馬
ディープインパクト
クロフネ
ステークス方式(ステークスほうしき)とは、競馬における賞金形態のひとつ。
近代競馬の成立以後、主にイギリスで賞金を懸けての競走が盛んに行われるようになり、その賞金を拠出するため、レースに所有馬を出走させる馬主が賭け金(stake)を出し合い、それを集めたもの(stakes)を勝者あるいは事前に定められた番手の入着馬までに分配するという方法が採られていた。
これがステークス方式と呼ばれる。オックスフォード英語辞典によると、勝者が賞金を総取り(sweep)する形式としてスウィープステークス(sweep stakes)という言葉が1495年に初出しており、これが縮まってステークスになったと言われている。この分配方式はゴルフなどイギリス起源の競技に多く採用されているが、特に競馬ではこの方式を採る競走をステークスレース(特別競走)と呼び、「○○ステークス」などの形で現在でも競走名に残っている。
特定の運営組織が賞金を拠出している場合がほとんどの現代では、上記のような厳密な意味でのステークスレースはほぼ存在しなくなっているが、例えば日本の中央競馬の場合、特別競走の出走登録料には特別登録料が加算されており、その加算分が7:2:1の割合で3着馬までの賞金に上乗せされるため、これも広義でのステークスレースであると。イギリス、アメリカ等でもステークスレースの登録料と賞金には同様の方式が採られている。
ステークス方式関連項目
セントレジャーステークス-イギリス最古のクラシック競走。第2回までスウィープステークスの名で行われていた。
競馬においてスクーリングとは、競走馬をある競馬場のコースで初めて走らせる前に、予行演習としてその競走馬をコース内に連れて行くことをいう。
馬は未知の環境に対して警戒感を抱くため、競走馬は初めて走るコースでは競走能力を十分に発揮できなくなることがある。スクーリングはそうした不安をあらかじめ競馬場の環境に慣れさせることで解消する目的で行われる。
スクーリングが行われた事例
日本の競走馬ハイセイコーには初めて来る場所で物見をする癖があり、東京優駿の前に同じ東京競馬場で行われるトライアルのNHK杯に出走した。
オグリキャップは1988年の有馬記念に出走する前に、同レースがおこなわれる中山競馬場で調教を行った。
スクーリング関連項目
ハイセイコー
オグリキャップ
新馬(しんば)とは、
新しい馬。
馬術競技大会などに未出場の馬。
競馬において競走未出走の馬。本項目で記述。
日本の競馬において、一定の範囲の馬齢の競走馬であってレースに出走した経験のないものをいう。新馬のみが出走することができるレースを新馬戦という。新馬戦の賞金額は未勝利戦より若干高く設定されており、また新馬戦を勝つことを新馬勝ちといい競走馬としてのひとつのステータスともなっている。
中央競馬においては毎年6月ごろに2歳馬を対象とした新馬戦の開催が始まり、翌年の3月ごろ(3歳)まで行われる。競走馬は新馬戦には一度しか出走することができない。
2002年以前は、初出走した開催内であれば最大で4回新馬戦に出走することができた。このため3週目や4週目の新馬戦は2走目の馬が多く出走するなどし、レース未経験馬に対し有利になりやすかった。
新馬戦を勝つことができなかった競走馬は未勝利クラスに分類され、一般的には未勝利戦での優勝を目指すこととなる。新馬戦の開催が終了すると、それまで新馬クラスに分類されていた競走馬は自動的に未勝利馬のクラスに分類される。また、2002年以前において、新馬戦が終わった3歳3月下旬から5月までの間に未出走戦という競走が存在した。出走条件は新馬戦と同じく未出走、賞金は新馬より低く未勝利戦と同額であった。
2008年から新馬戦には「メイクデビュー(開催競馬場名)」(例:メイクデビュー函館)という愛称が設定されている。この愛称を考案したのは、レーシングプログラムの「馬名プロファイル」を担当している英文学者・柳瀬尚紀である。
同時に本馬場入場で新馬戦専用曲「The Rising Sun」(作曲・椎名邦仁)が使用されている。
複数のG1優勝馬が同じ新馬でデビューした例
*旧八大競走も含む
1972年7月15日東京競馬場芝1100メートル 1着タケホープ 6着イチフジイサミ[1]
1976年1月31日東京競馬場芝1400メートル 1着トウショウボーイ 4着グリーングラス[2]
1995年1月8日京都競馬場ダート1200メートル 1着ワンダーパヒューム 5着マヤノトップガン
1996年3月3日阪神競馬場芝1600メートル 4着エリモシック 5着マサラッキ
1996年11月30日京都競馬場ダート1200メートル 1着キョウエイマーチ 3着マチカネフクキタル
2002年11月30日阪神競馬場芝1400メートル 1着スティルインラブ 6着ヘヴンリーロマンス
2004年10月23日京都競馬場芝1400メートル 3着マルカラスカル 15着サンライズバッカス[3]
2005年8月21日札幌競馬場芝1800メートル 1着マツリダゴッホ 7着フレンドシップ
2006年7月1日福島競馬場芝1200メートル 1着ピンクカメオ 6着ショウワモダン
2007年7月8日阪神競馬場芝1800メートル 1着アーネストリー 2着トールポピー 8着キャプテントゥーレ[4]
2007年10月8日京都競馬場芝1400メートル 1着エーシンフォワード 4着ディープスカイ
2008年10月26日京都競馬場芝1800メートル 1着アンライバルド 3着ブエナビスタ 4着スリーロールス[5]
2009年10月25日京都競馬場芝1800メートル 1着ローズキングダム 2着ヴィクトワールピサ
地方競馬の新馬
地方競馬ではホッカイドウ競馬やばんえい競馬では例年中央競馬より早い2歳4月から新馬戦が始まる。JRA2歳認定競走を兼ねていたりする場合は「フレッシュチャレンジ」などの競走名となる。
新馬脚注
^ この2頭は翌年のダービーで1着2着を占める
^ シービークインが5着
^ ブライトトゥモローが1着、エイシンドーバーが2着、ブロードキャスターが4着
^ ドリームシグナルが3着
^ リーチザクラウンが2着
新馬関連項目
日本の競馬の競走体系
シンジケートとは、種牡馬を共同で所有する組織のことを指す言葉で、現在主流となっている種牡馬の所有形態である。
かつては個人所有の形式が一般的だったが、種牡馬価格の高騰に伴い、この形式では負担やリスクがあまりに大きくなった。そこで考案されたのがシンジケートで、細部はそれぞれ異なるが、1頭の馬につき約40株から60株程に分けて会員を募り、30人から50人程度で共同所有するという形式が一般的である。
日本では、1955年に輸入されたハロウェーが、この形式で所有された最初の種牡馬とされる。会員の持つ株を本株と言い、1株につき1頭分の種付け権利を有する。
株の保有数に応じて発言権が高まるのは、一般の株式会社と同様である。 本株とは別に余勢株というものがあり、ノミネーションセールと呼ばれるセリ市で取引されるが、非会員はこれを購入して1年限定の種付け権利を得ることとなる。余勢株の相場は、おおむね本株の5分の1程度とされる。余勢株から得られた収入は、会員に分配される配当金となる。
競馬における審議(しんぎ、英:Stewards’ Inquiry,または単にinquiryとも)とは、ある競走において発馬機のゲートが開いてから決勝線を迎えるまでの間に、不正な行為がなかったかを審査やチェックすることを指す。
審議概要
審議は、競走中に進路妨害の疑いが生じたり、負担重量に問題が生じたりした場合に行われる。審議を行う場合には、裁決委員が場内アナウンス担当者を通して審議を行う旨を場内に知らせる。
知らせる方法として、電光掲示板と場内への審議放送が行われる。
電光掲示板では「審議」もしくは審議の略である「審」を掲示する場合が多い。また青ランプも点灯させる競馬場がある(おもに中央競馬)。この審議が行われる旨は、競走中に早々と示される場合もあれば、後検量で負担重量に問題があった場合など、競走が終わってしばらくしてから示される場合もある。通常は全馬入線後に知らされるが、まれに競走中に電光掲示板に審議を行う旨が示されることがある。
競走終了後、裁決委員がパトロールビデオを見てその競走馬が降着・失格の対象になるか否かを審議する。日本の中央競馬の場合、場合によっては被害馬・審議対象馬双方の関係者を裁決室に呼び事情を聴くこともある。なお地方競馬や日本国外の場合は、基本的には関係者を呼ばずに裁決委員が当該関係者に伝えるのみである。
審議終了後、降着・失格の有無に関係なくふたたび審議放送が同じく場内アナウンス担当者によって行われ、審議の結果が場内に告知される。
基本的には審議の終了まで着順が確定されず、審議の結果によっては着順の変更が生じるため、場内放送で「お手持ちの勝馬投票券はお捨てにならないようにお願い申し上げます」とアナウンスされることもある。
また審議が長引き、上位入線馬には影響がない場合には、上位入線馬のみを確定し、引き続き審議を行う場合がある(これは馬券の払い戻しを一刻も早く行うためである)。
審議の結果、不正や反則が認められた場合は、状況に応じて制裁が加えられる。制裁には馬に主たる原因があるものと人馬ともに原因のあるものなどいくつかに区別され、反則の内容により裁決委員により制裁の内容を決定する。
中央競馬においては、レース終了後は審議の有無に関わらず5位以内入線馬の着差が電光掲示板(着順掲示板)に順次表示されるが、5位以内入線馬に降着・失格があって確定した場合は、確定後も着差は電光掲示板には表示されない。ただしJRAの公式刊行物およびウェブサイト上には「○位降着」(=○位で入線したのち降着になった意)などと表示される。
審議放送
審議を行う旨や審議の結果などは、場内放送を用いてアナウンスを行う。このアナウンスを審議放送と呼ぶ。審議放送では、発生した地点(発走後間も無く、第○コーナー、向正面、最後の直線コース、決勝線手前、○周目第○号障害飛越の際)、被害を受けたと思われる馬名、発生した案件(進路が狭くなったこと、つまずいたこと、バランスを崩したこと、騎手が落馬したこと、転倒したこと、競走を中止したこと、外にふくれたこと)をアナウンスする。
ただし、2頭が接触したと思われる事案は「○○号と××号が接触したこと」とし、案件がはっきりしない場合は馬名を挙げずに「第○コーナーでの出来事」とアナウンスする。
以下に中央競馬における審議放送の内容を挙げる。なお、馬名はすべて架空の馬名である。
審議の実施
「お知らせ致します。○○競馬第○レースは~」に続いて審議対象案件の説明となる。最後に「お持ちの投票券は、勝ち馬が確定するまで、お捨てにならない様お願い致します。」とアナウンスされる。
審議対象案件のアナウンスの例
「決勝線手前で、11番セカイイチゴウ号の進路が狭くなったことについて審議を致します。」
「発走後間も無く、11番セカイイチゴウ号がつまずいたことについて審議を致します。」
「最後の直線コースで、11番セカイイチゴウ号の騎手がバランスを崩したことについて審議を致します。」
「向正面で、11番セカイイチゴウ号の騎手が落馬したことについて審議を致します。」
「最後の直線コースで、11番セカイイチゴウ号が転倒したことについて審議を致します。」
「第4コーナーで、11番セカイイチゴウ号が競走を中止したことについて審議を致します。」
「第1コーナーで、11番セカイイチゴウ号が外にふくれたことについて審議を致します。」
「2周目第3コーナーで、7番セカイオウ号と11番セカイイチゴウ号が接触したことについて審議を致します。」
「第3コーナーでの出来事について審議を致します。」
「最後の直線コースで、11番の進路が狭くなったこと、及び7番の進路が狭くなったことについて合わせて審議を致します。」
「競走後半で、11番の進路が狭くなったことについて審議を致します。」 (新潟直線1000mの場合のみ)
上位入線馬に審議の対象馬がいない場合の審議
「お知らせ致します。○○競馬第○レースは引き続き審議しておりますが、第○着までは到達順位の通り確定致します。」とアナウンスされる。この場合、競走としては確定ではないが馬券は確定となり、追って払戻しのアナウンスが行われる。
なお審議終了後、降着・失格の有無に関わらずその結果がアナウンスされる。
審議終了(進路妨害等が認められないと判断した場合)
「お待たせ致しました。○○競馬第○レースは、審議を致しましたが、到達順位の通り確定致します。なお~」に続いて審議結果がアナウンスされる。
審議結果のアナウンスの例
「審議の対象馬は7番であり、最後の直線コースで、11番の進路が狭くなったものでありました。」
「最後の直線コースで、11番は充分な進路が取れなかったため控えたものであり、進路が狭くなったものでありました。」
「7番は左側に寄れたことにより、最後の直線コースで、11番の進路が狭くなったものでありました。」
「この件は7番が内側に動いたことにより、最後の直線コースで、11番の進路が狭くなったものでありました。」
「最後の直線コースで、11番はバテ下がった前の馬をかわすため、控えたものでありました。」
「11番は他の馬に関係なく、つまずいて騎手が落馬し、最後の直線コースで、競走を中止したものでありました。」
「11番は他の馬に関係なく、最後の直線コースで、外にふくれたものでありました。」
「審議の対象馬は先の件は3番で最後の直線コースで、11番の進路が狭くなったものであり、後の件は5番で同じく最後の直線コースで7番の進路が狭くなったものでありました。」
審議終了(降着・失格が生じた場合)
「お待たせ致しました。○○競馬第○レースの審議についてお知らせ致します。」に続いて審議結果がアナウンスされる。冒頭部のアナウンスが降着・失格が生じない場合と異なる。
審議結果のアナウンスの例
「第3位に入線した、7番セカイオウ号は、最後の直線コースで急に内側に斜行し、11番セカイイチゴウ号の走行を妨害したため、第9着に降着とし、着順を変更の上、確定致します。従って、3着までの着順は、1着4番、2着8番、3着1番となります」
「第3位に入線した、7番セカイオウ号は、2周目6号障害で急に内側に斜飛し、11番セカイイチゴウ号の走行を妨害したため、第9着に降着とし、着順を変更の上、確定致します。従って、3着までの着順は、1着4番、2着8番、3着1番となります」
「第3位に入線した、3番セカイセイハ号は、最後の直線コースで急に内側に斜行し、11番セカイイチゴウ号の走行を妨害したため、第9着に降着とし、着順を変更の上、確定致します。従って、3着までの着順は、1着4番、2着8番、3着1番となります。なお、最後の直線走路で、7番の進路が狭くなったことについて審議をいたしましたが、この件による失格馬、及び降着馬はございません。なお、この件の対象馬は、5番でした。」
「第3位に入線した、7番セカイオウ号は、最後の直線コースで急に外側に斜行し、11番セカイイチゴウ号の走行を妨害したため、失格とし、着順を変更の上、確定致します。従って、3着までの着順は、1着4番、2着8番、3着1番となります」
「第3位に入線した、7番セカイオウ号は、2周目6号障害で急に外側に斜飛し、11番セカイイチゴウ号の走行を妨害したため、失格とし、着順を変更の上、確定致します。従って、3着までの着順は、1着4番、2着8番、3着1番となります」
審議終了(被害馬が先着していた場合)
「お待たせ致しました。○○競馬第○レースは、審議を致しましたが、到達順位の通り確定致します。なお~」に続いて審議結果がアナウンスされる。
審議結果のアナウンスの例
「7番セカイオウ号は、最後の直線コースで、11番ウィキペディア号の走行を妨害しましたが、被害馬が先着のため、着順の変更はありません」
中央競馬の「不服申立て制度」 の審議
中央競馬では1994年以降、審議の結果裁決委員が下した判定に不服のある当事者(馬主、騎手、調教師)は裁決委員以外の上部機関[注 1]にアピール(不服申し立て)を所定の保証金を支払う(2011年時点では10万円[2])ことで行うことができる(アピール制度)[3]。2011年2月までに行われた申し立てはすべて棄却されている[4]。
審議注釈
^ 当初は日本中央競馬会の役職員のみで構成されていたが、2009年6月20日から外部委員がメンバーに加わった[1]。
審議脚注
^ 谷川善久 (2009年6月14日). “中央競馬ニュース「不服審理委員会に外部委員が参加」” (日本語). Racing Topics. 日本中央競馬会. 2011年3月8日閲覧。
^ “幸 英明騎手からの不服申立てについて” (日本語). 日本中央競馬会 (2011年2月28日). 2011年3月8日閲覧。
^ “中央競馬Q&A 第12版 (PDF)” (日本語). 日本中央競馬会. pp. 20 (2010). 2011年3月8日閲覧。「Q43.不服申立て(アピール)制度とは。」参照
^ “幸の申し立て棄却” (日本語). スポーツ報知 (2011年3月3日). 2011年3月8日閲覧。
審議参考資料・出典
走路妨害および制裁について(JRAホームページ内)
藤田伸二「競馬番長のぶっちゃけ話」(宝島社 2009年)
勝率(しょうりつ、winning percentage、WP)とは勝利した割合を表す。
勝率概要
競技大会などで試合方式として主に総当たり戦(日本におけるリーグ戦)で行われる際の順位決定の為に採られる算出方法である。「順位決定方法は勝率制で行われる。」などの表現で用いられることが多い。勝率制の場合、基本的には前述の勝率計算で一番数値が高いチームが優勝となる。但し、プレーオフ制度を導入しているスポーツの場合は、それ以外(例えば2~3番手)の順位のチームにも最終的な優勝へのチャンスが与えられる為、この限りではない。
勝率計算方法
対戦形式のゲームでは、文字通りに考えれば
勝利数÷全試合数
となるが、引き分けがあるルールでは問題が発生するのでこの式はあまり使われない。たとえば日本の野球では
勝利数÷(勝利数+敗戦数)
が標準である(公認野球規則10.22)。
但し引き分けは負け扱いとして「勝利数÷全試合数」をそのまま採用する例や、0.5勝0.5敗として「[勝利数+(引分数×0.5)]÷全試合数」とする例もある(後述)。
野球選手個人(投手)の勝率を計算する場合は勝利投手数÷(勝利投手数+敗戦投手数)で計算する。
レースでは、
勝利数÷参加レース数
である。この場合の勝利とはレースで1着となることである。競馬の騎手なら「勝利数÷騎乗数」、調教師なら「勝利数÷出走数」となる。
勝率における引き分けの扱い
通常、単に勝率制と表現した場合は、冒頭での計算式からも解るように、引き分けは除外、つまり勝利数にも敗戦数にも含めない。但し、この場合引き分けの価値が(勝率)勝(1-勝率)敗と等価になるため、勝率が高くなればなるほど引き分けの価値が高くなる。
このため、引き分け制度がある競技運営の場合、優勝争いをしているチームが最初から、或いはある程度の段階から、勝利することではなく、意図的に引き分け狙いの作戦をとることがあったり、勝率で1位となったチームの勝利数が2位チームのそれより低い場合もあり、それを回避する目的で次のような方法が取られることがある。(いずれの方法も他のアマチュアスポーツなどでは現用で採用されている方法であり、決して特殊な方法ではない。)
勝率における0.5勝0.5敗に換算
引き分けを0.5勝0.5敗に換算し、勝率を計算する方法。
特徴:
引き分けの価値が常に同じとなる。
勝数と負数だけの計算に比べて多少複雑になる。
勝率1位が必ず勝数も最大になるとは限らない。
採用例:
1960年代までの日本プロ野球で行われた。
韓国プロ野球では2008年まで使用された。
2006 ワールド・ベースボール・クラシックで採用された。
日本国内の大学野球の一部のリーグで現用になっている。
再試合を実施の時の勝率
引き分け試合が発生した場合、再試合を行って必ず勝敗の決着を付ける方法。
特徴:
総試合数が参加全チームで同じになるため、勝率の1位と勝数の1位が必ず同一になるため解りやすい。
採用例:
1960年代までの日本プロ野球で採用実績がある。
1990年代のセントラル・リーグでも用いられた。但し、延長戦を15回までとして再試合の発生する可能性を抑えていた。
負け試合(非勝利)として扱う時の勝率
冒頭の計算式で、負数を非勝利数として扱う。つまり、総試合数に引き分けも含める。
特徴:
引き分け試合は実質的に負けと同等な価値になる。この為総試合数は参加全チームで同じになり、全日程終了時の順位も後述の勝利数のみで順位を決定する方法と同一となる。
負けないにも関わらず引き分け数が多いほど勝率上では不利になるので、引き分け試合が多く発生する競技では避けられる傾向がある。
採用例:
NFL(引き分け制度あり)
韓国プロ野球では2009年から2010年まで使用された。
勝率ではなく勝利数で順位を決定
冒頭の計算式で算出した勝率ではなく、あくまで勝利数のみで順位を決定する方法。
特徴:
勝利数で順位を決定すると、残り試合の差によって順位表が優勝までの有利不利さと著しく乖離してしまう。
引き分け試合は実質的に負けと同等な価値になり、負けないにも関わらず引き分け数が多いほど不利になるので、引き分け試合が多く発生する競技では避けられる傾向がある。
採用例:
2001年のセントラル・リーグで採用されたが1年で廃止された(東京ヤクルトスワローズ#2001年のリーグ優勝も参照)。
2003年・2004年の韓国プロ野球でも同様のシステムが取られた。
プレーオフを実施
勝率の1位と勝数の1位が同一チームではない場合、プレーオフを行う。
特徴:
勝率・勝利数の違いの不公平さをある程度解消できる。
採用例:
2001年から2006年までのセントラル・リーグで採用されたが、実際にプレーオフが行われることはなかった。
勝率に関するタイトル
プロ野球の投手成績
日本プロ野球のパシフィック・リーグに所属する投手にも、最高勝率のタイトルがあった(1986年~2001年まで。2002年より最優秀投手へとタイトル名が変更された)。
JRAの騎手、調教師成績
競馬では、JRA賞でJRA賞最高勝率騎手、JRA賞最高勝率調教師の2タイトルが制定されており、日本中央競馬会によって表彰される。
勝率関連項目
最高勝率
リーグ戦
トーナメント方式
勝利
勝ち点
競馬における勝負服(しょうぶふく)とはレースに出走する馬に騎乗する騎手が着用する服のことである。
日本の競馬における勝負服
中央競馬の勝負服
中央競馬(JRA)では馬主ごとに服色が定められている。服色の登録は馬主が行い、勝負服そのものは、競走馬を預託している調教師が所有と管理を行う。一部の騎手の中には騎乗回数が多い馬主の勝負服を所有・管理しているケースもある。
勝負服の登録
勝負服の登録は馬主登録と同時に行うか、所有馬が初めて出走する直前にJRAに登録する。使用できる色と柄は競馬施行規則に定められており、柄についてはその寸法について明記されている。
勝負服 に使用できる色
白・黒・赤・青・黄・緑・桃・水色・紫・薄紫・鼠・海老・茶の13色で、胴と袖それぞれ地色と模様に1色ずつ、合計4色まで使用できる。
勝負服 に使用できる胴の柄
「無し(1色のみの使用)・一本輪・二本輪・三本輪・一文字・帯・山形一本輪・山形二本輪・山形三本輪・山形一文字・山形帯・菱山形・襷・十字襷・縦縞・格子・元禄・ダイヤモンド・うろこ・井桁絣・玉霰・星散・蛇目散・銭形散」の中から1種類を使用できる。
※帯と山形帯については最近ではほとんど使用されていない。
勝負服 に使用できる袖の柄
袖の部分は胴とは別の色を使用でき、柄も別に定められている。左右で同じ柄を使用する。
「無し(1色のみの使用)・一本輪・二本輪・三本輪・山形一本輪・山形二本輪・山形三本輪・菱山形・縦縞・格子・元禄・ダイヤモンド・うろこ・井桁絣・玉霰・星散・蛇目散・銭形散」の中から1種類を選択する。
勝負服の特殊な柄
鋸歯形(胸から肩にかけて使われる柄であり、胴の柄はこれ以上使えず、袖の柄は「一本輪・二本輪・三本輪」しか使用できない)
勝負服の変更
服色変更の申請があれば何度でも変更が可能である。過去には変更した翌週に元に戻した事例(前田幸治やノースヒルズマネジメント)もある。
勝負服の抹消
馬主登録が抹消されると勝負服の登録についても抹消される。抹消された勝負服は抹消日から60日間は使用できないが、抹消馬主の相続人であれば同じ勝負服を使用することができる。
特殊な勝負服
勝負服が未登録のまま馬が出走した場合
JRAより勝負服が貸し出される(1競走1頭につき使用料500円を徴収)。貸し出される勝負服は、胴の色と袖の色が白で、枠番の色(1枠は水色)の斜縞が入る。同枠の2頭がともに未登録の場合は馬番の大きい方は白ではなく1・2枠が薄紫、3〜8枠が黒となる。
勝負服を用意できなかった場合
JRAより勝負服が貸し出される(1競走1頭につき使用料500円を徴収)。貸し出される勝負服は、胴の色と袖の色が白で、枠番の色(1枠は水色)の斜縞が入る。同枠の2頭がともに未登録の場合は馬番の大きい方は白ではなく薄紫となる。
競走馬の調教師に対して過怠金(1万円)が課せられる。競馬開催中に発覚した場合は、文字放送において告知を行う。
中央競馬馬主登録を受けていない馬主の競走馬が出走した場合
JRAより勝負服が貸し出される(1競走1頭につき使用料500円を徴収)。貸し出される勝負服は、胴の色が白で枠番の色(1枠は水色)の四ツ割が入り、袖の色が白で枠番の色(1枠は水色)の一本輪が入る。同枠の2頭がともに未登録の場合は馬番の大きい方は白ではなく薄紫となる。
枠番の色が導入される以前の貸し出し用勝負服は、当時の写真を見ると、胴と袖の色が別々(色は不明)で、胴の右胸の部分に馬番が縫い付けられたものを使用していたようである。
国際競走(ジャパンカップなど)に海外馬が出走した場合
日本では登録が認められていない装飾の勝負服を着用して出走することができるが、帽子は枠の色の物を着用する。
勝負服の染め分け帽
同じ枠に同馬主の馬が入った場合は、帽子の色も勝負服も同じことになる。それでは見分けが付かない場合もあるため、大きい数字側の馬に騎乗する騎手が染め分け帽と呼ばれる色が2色に分かれた帽子を着用することになっている[1]。
また17頭か18頭立てで行われるレースは7枠および8枠に3頭ずつ入るようになっているが、もし3頭全て同じ馬主の馬が入った場合は、最も大きい番号の馬の騎手が交互8つに色が分かれた帽子を着用することになっている。また、2番目に大きい番号の騎手は前述した4つ分けの染め分け帽を着用する。ただ8つ分け染め分け帽は滅多に見られない(1991年以前は1枠から6枠までも4つ分けの染め分け帽が用意されていたが、1991年秋以降は最大出走頭数が18頭となった関係で事実上廃止された)。
非常に多数の競走馬を所有する馬主[2]に染め分け帽は多く見られる。
勝負服の製作
制作メーカーは福島県福島市にある合資会社河野テーラー[3]などがある。
レプリカ勝負服
中央競馬ピーアール・センター(1993年以降のG1レース)やホース・ライフ社の通販サイトで勝負服のレプリカを販売している。また、勝負服柄をモチーフとしたTシャツやブルゾンなどのグッズもある。
地方競馬の勝負服
地方競馬(NAR)ではホッカイドウ競馬の一部のケースを除き、騎手ごとに勝負服が定められている。これは騎手服と呼ばれるシステムで、所属競馬場やあるいは同じ地区の競馬場の他の騎手と同じものにならないように、騎手が色や柄を登録することになる。
デザインが騎手ごとのものであるため、基本的には騎手本人が色柄を選択する。他地区の有力騎手や中央競馬や海外の有力馬にあやかってその勝負服と同じデザインを登録している騎手や、一門で共通の柄を用いていたり、師匠である調教師が騎手時代に用いていた勝負服のデザインを弟子である騎手が受け継ぐなどということも見られる。
その他、中央競馬と地方競馬の勝負服で異なる点として、中央競馬では使えない色や柄が地方競馬では使えることもある。例えば、橙色は中央競馬で勝負服の色には使用できない(一部を除く)が、地方競馬では使用できる。
中央競馬の騎手が地方競馬場に指定交流戦のために遠征し、その遠征馬の他に一般戦などで地元所属の馬に騎乗する場合については、基本的には枠順に合わせた色の勝負服がJRA所属騎手用とし用意される。ただし、兵庫県競馬(園田、姫路)では、元兵庫所属のJRA騎手である岩田康誠が地元所属馬に騎乗する場合、馬券を購入する地元の競馬ファンの混乱防止の観点から、地方競馬時代に使用していた服色の勝負服を着用している[4]。
また、岩田康誠以外の元地方所属だったJRA騎手が騎乗する場合、地方所属時代の勝負服をイメージできる色の貸し服を着用する(小牧太:緑・内田博幸:青など)。武豊はこれらに該当しないが、ゴールデンジョッキーカップに招待されることが多いということもあり、ピンク色の勝負服を着用する。
同様に南関東地方競馬でも、2008年3月より騎手の取り扱いについて変更を行い、中央競馬に移籍した元南関東地区所属の騎手について、中央所属馬に騎乗する時以外は地方競馬当時の服色での騎乗が可能となった。これは大井競馬場のトップジョッキーであった内田博幸が中央競馬に移籍したことに伴って行われた変更である。また川崎競馬場では、2011年から「一定の基準」を満たしたJRA所属騎手については、各自がデザインした勝負服の着用を認めることとした[5]。
逆に指定交流戦などで中央競馬の所属馬に地方競馬所属の騎手が騎乗する場合は、JRA騎手同様、馬主が中央競馬で使用している勝負服を着用する。
地方競馬に短期免許で外国人騎手や外国に活動の本拠地を持つ日本人騎手が騎乗する場合についても、基本的には専用の服飾が用意される。また、かつて大井競馬場がアメリカのサンタアニタ競馬場との交流の一環として騎手招待レースを実施していたころには、星条旗などをモチーフとした本来ならば日本の規定にない特殊なデザインの勝負服を用意し、その服をその当日の招待騎手専用のものとして使用していた。
なお、日本競馬の通算最多勝記録の保持者である佐々木竹見元騎手の使用していた『赤・黄山形一文字』の服色は、佐々木の功績を記念して永久保存に指定されており、新たに服色として使用することができない(ただし、現在使用している騎手はそのまま使用できる)。
愛知県競馬(名古屋、公営中京)や兵庫県競馬(園田、姫路)では、かつては騎手勝負服ではなく、競輪やオートレースなどのような枠順ごとの勝負服が用いられていた。
ホッカイドウ競馬の勝負服
ホッカイドウ競馬では2006年度から以下の場合に限り馬主ごとの勝負服着用を認めている。
JRA認定競走(フレッシュチャレンジ競走、ルーキーチャレンジ競走、アタックチャレンジ競走)
2歳勝馬戦(オープン競走)
交流重賞競走及び重賞競走
交流競走の勝負服
地方競馬に所属する騎手が中央競馬で騎乗する場合、地方競馬で自分が着用している勝負服を中央競馬のレースで着用することはできない。その場合、地方馬の馬主が中央競馬の馬主登録をしていれば登録した勝負服を着用し、登録がなければ規定によって定められたデザインの勝負服が貸し出される。逆に中央競馬の馬が地方競馬のレースに出走する際には、中央競馬で登録している馬主の勝負服が用いられるのが一般的である。
日本以外の国の競馬における勝負服
日本の中央競馬と同じく、馬主ごとに勝負服が定められている。デザインについては日本より自由度が高く、日本で認められていない色や柄、装飾などが用いることができる。また、文字の挿入を認めている国もある。
色
ベージュ・ダークブルー・ダークグリーン・エメラルドグリーン・ライトグリーン・ガーネット・オレンジ・白・黒・赤・青・黄・緑・桃・水色・紫・薄紫・鼠・海老・茶 ほか
柄
無地・エポレッツ(肩章)・ストライプ(縦一本)・ブレセス(縦二本)・ストライプス(縦縞)・ホローボックス(枠)・ホープ(一本輪)・ホープス(三本輪)・シェブロン(V字一本)・シェブロンズ(逆V字三本)・シームス(縫目)・サッシュ(襷)・クロスベルツ(十字襷)・クロスオブロレーヌ(ロレーヌ十字)・チェック(元禄)・ディアブロ(鼓輪)・ディスク(円盤)・サークル(輪)・クォータード(四ツ割)・ハァヴ(胴左半分・右袖)・スター(星)・スターズ(星散)・ダイヤモンド(ダイヤモンド一つ)・ダイヤモンズ(ダイヤモンド散)・トリプルダイヤモンド(菱山形)・スポッツ(玉霰)・ラージスポッツ(玉襷)・トライアングル(逆三角形)ほか
上記の柄の他に馬主独自の意匠が認められる場合もある(主にアメリカ競馬)。
アラン・ポールソン(シアトリカルなど)〜赤と青で図案化された「AP」が前面及び背面に大きく描かれている。
チャールズ・ハワード(シービスケット)〜逆三角形の白枠内に、白の「H」が描かれている。
ストロナース・ステーブル(ゴーストザッパーなど)〜橙色のディスクの中に、白い「A」と赤い「矢」が描かれている。
日本では基本的に枠の色が使われる帽子も、日本以外では勝負服の一部としてさまざまな色や柄が用いられる。たとえば有限会社社台レースホース(勝負服の登録は「黄、黒縦縞、袖青一本輪」)は日本以外で出走する際には「黄、黒縦縞」の帽子を使用する。
勝負服 脚注
^ 例:2枠であれば黒と白交互4つに分かれた帽子を着用。1枠であれば白と水色に色が分かれた帽子を着用。
^ 近年は有限会社サンデーレーシング・有限会社社台レースホース(ともに社台グループ)、株式会社サラブレッドクラブ・ラフィアンなど。
^ 佐藤夏樹 (2011年8月6日). “シェア全国トップ級 勝負服の老舗が苦境 福島競馬中止で” (日本語). 河北新報. 2011年8月10日閲覧。
^ ただし、JRAに移籍した直後に行なわれた第43回六甲盃では青色ベースの貸し服を着用しており(マイネルサイプレス:2着)、その後に現在のようになった。
^ “JRA福永祐一騎手が川崎競馬オリジナル勝負服で佐々木竹見カップに出場!” (日本語). 川崎競馬ニュース. 神奈川県川崎競馬組合 (2011年1月18日). 2011年1月22日閲覧。
出馬投票(しゅつばとうひょう)とは、競走馬が競馬の競走に出走するために必要な登録申請の事である。出馬投票を行うのは競走馬を所有する馬主である。それぞれの競走は競馬番組として施行条件が発表されており、その競馬番組に示された条件に該当しない競走馬の出馬投票は認められない。
この項目は出馬投票であるが、競走に出走が決まるまでの諸事項についても取り上げる。
日本の競馬は中央競馬と地方競馬に分かれており、それぞれは異なるため、場合分けをして説明する。
中央競馬における出馬投票
競走が行われる週の木曜日(年始などの変則開催時は例外あり)に出馬投票が受け付けられる。出馬投票は競走毎に行われる。
特別競走及び地方競馬で実施される指定交流競走においては、競走が行われる週の前の週の日曜日(例外あり)に特別登録の受付が行われ、この特別登録がない馬は、その競走への出馬投票はできない。
またグレードワン競走及び地方競馬のダートグレード競走の特別登録は、さらに1週前に行われる。(2008年までの2歳馬限定のグレードワン競走は除く)
地方競馬における出馬投票
競馬番組は開催の直前にならないと確定しない。というのも、競走馬の出走状況を把握した上で競走を編成するためである。従って、事前調査を兼ねて開催の前に、その開催に出走する旨があるかどうかを事前に登録を行う。
出走する意思(その後、出走しなくても当然構わない)がある場合にはこの段階で登録しなければならない。登録がない場合には、その開催に出走することはできない。主催者はこの事前の登録をもとに競走を編成し、競走の施行条件を定め、競馬番組を発表する。
この段階で事前に登録された競走馬は出走する競走を指定される。
この指定された競走以外への出走投票は認められない。この際、その後の出走取りやめなども想定し、出走可能頭数を上回る数の馬を一つの競走に割り当てる。その後、指定された競走に出走させる場合には、競走の前日(前々日に行われることもある)に行われる出馬投票を行う。
また、重賞競走などでは、中央競馬同様に特別登録が行われる。
出馬投票が出走可能頭数を超過した場合
出馬投票によって、出走希望頭数が出走可能頭数を超過する場合には、選定基準の下位の馬より除外される。日本の中央競馬の場合、出走可能頭数は最大で18頭までであるが、コース形態や移動柵の設置場所によって変動する。頭数制限が敷かれた1991年以前は20~30頭も出走するレースもあった。
選定基準は獲得賞金順や過去の競走実績、レースの間隔などを加味して決められる。競走によって選定基準は異なる。選定基準が同一の場合には抽選が行われ、抽選で当選した馬が出走できる。当選しなかった馬は競走から除外される。なお、中央競馬においては除外された競走馬には優先出走権が付与される場合がある。
中央競馬において、選定基準が下位のために除外された競走馬を非抽選馬、抽選で除外された競走馬は非当選馬と呼ぶ。除外された競走馬は同じ週の他の一般競走に改めて出馬投票することができる。
出馬投票の出走希望頭数が開催基準頭数に満たない場合
出走希望頭数が開催基準頭数(3歳の未勝利戦は5頭、それ以外は4頭)に満たない場合は原則として競走を取りやめる。
ただし、重賞競走(GIIIおよびJ・GIIIを除く)、トライアル競走、国際指定競走において外国馬の出走申込並びに指定交流競走で地方競馬所属馬の出走申込があった場合は競走を実施する。
出馬投票の中央競馬における競走の分割
出走希望頭数が開催基準頭数に満たすことが出来ずに競走が取りやめとなった場合、その分を補充するという意味合いで、一般競走の中で出走希望頭数の多かった1競走を選んで競走の分割を行う場合がある。
1997年度までは、競馬番組の発表の段階において、GI競走開催日(2歳戦は除く)とあらかじめ12競走が開催される日を除く全ての開催日は11競走を編成していた。しかし、出走希望頭数が最も多くなった条件の競走を2つに分割(分割ABの2競走。競走の取りやめがあった場合には2競走を分割してそれぞれAB・CDとして施行)して開催するケースが多く、結果的にほとんどの開催日は12競走行われてきた。
そこで、1998年度から一部の例外日(東京優駿・ジャパンカップ・有馬記念施行日)を除く開催日はあらかじめ競馬番組を発表する段階において12競走を編成するようになった。従って、出走希望頭数が開催基準頭数に満たず競走が取りやめとなった場合に限り、競走が分割されるようになった。
12競走を超えて編成することは競馬法施行規則により、行うことができない。
地方競馬においてはあらかじめ、競馬番組を発表する際に、全出走予定馬を各競走に分けて編成する形で発表しているので、出走希望頭数が開催基準頭数に満たない場合には競走が取りやめになるだけであり、中央競馬のように他の競走が分割されることはない。
出馬投票後
出馬投票で除外されなかった場合には、その競走馬は競走に出走することができる。また、出走が決まった馬は出馬表(後述)によって速やかに発表される。
出走が決まると次はゲートの順番(これを以後、枠順と呼ぶ)を決める。枠順の抽選を行う日は競走により異なるが、中央競馬は主にその競走の勝馬投票券が販売開始される日の前日、地方競馬は出馬投票が終了次第速やかに枠順の抽選が行われ、枠順が確定する。
一部のグレードワン競走では、現在でも抽選機による公開(といってもマスコミなどへの公開であり、ファンが参加できるものではない)の枠順抽選が行われている。八大競走やジャパンカップ・ジャパンカップダートではコンピューターによる抽選、それ以外は新井式回転抽選器による抽選が行われている[1]。
出走取消
日本の競馬では出馬投票後の出走取消は疾病などによるやむを得ない場合に限られている。 外国の競馬では当日の馬場状況によって出馬投票後に出走を取り消すことは多々ある。
出馬投票(出走馬確定)後、枠順が確定する前に出走を取り消す場合には、枠順抽選からはずされ、その後の出馬表には掲載されず「枠順確定前出走取り消し」として扱われる。枠順確定後の取り消し、並びに競走除外(装鞍所到着後、パドック周回時を含め競走の発走前の負傷による出走辞退)の場合はそのまま出馬表に掲載される。
また勝馬投票券の扱いについては、当該の競走の馬券発売後の取り消し(除外)があった場合に、取り消し(除外)当該馬に関連する全ての投票券がレース確定後払い戻される。
出馬表
出馬投票が終了し、出走馬が確定した時点で発表される出走馬を知らせるための表のこと。日本では「枠番連勝」の勝馬投票券が発売されていることもあり、枠番および馬番の扱いが他国とは大きく異なっている。
中央競馬において、出馬表に書かれる競走馬の順番は枠順が決定してない段階と、決定後の段階で異なる。
「枠順が決定してない段階」では馬名のアイウエオ順に並べられる。この際に馬番号は附されない。
「枠順決定後」はゲートの順番である馬番号順に並べられる。「枠順確定前出走取り消し」となった馬については「枠順決定後」の出馬表には記載されない。
日本国外の競馬では出馬投票終了の時点で馬番号がつけられ、この順番に出馬表に並べられる。海外での馬番号は負担重量の重い順に並べられ、同じ負担斤量の馬は現地表記のアルファベット順に並べられる。負担斤量の重い馬は通常、他の馬よりも実績があるため、その実績に敬意をもって馬番号の若い方に並べられている。
その後、ゲートの順番が決定されるが、この順番は日本ではゲート順、または枠番号などと表記される。従って日本と異なり馬番号とゲート順(枠番号)は全く関係性がない。
日本中央競馬会のホームページでの外国の競馬の出馬表の掲載は馬番号順に並べられているが、日本のマスコミなどが掲載するものは日本にあわせてゲート順に並び替えられたものが掲載されていることがある。
開催中止時の出馬投票について
台風や積雪などの気象条件の悪化や、大地震などの天災、さらには機器故障や開催関係者による労働争議(例として厩務員ストライキなど)などの不測の事態が原因で、正常かつ公正な競馬の開催が困難となり、その日の競馬施行を中止し後日代替開催(途中打ち切りによる続行開催の場合も含む)となった場合は、原則として中止になった当日の枠順は全て取り消され、改めて出馬投票をやり直すことになっている。
ただし、最近は出馬投票のやり直しをしないで、中止時の枠順をそのまま有効にして代替(続行)開催を行うケースがある。これは、枠順の変更に伴う有利不利などでファンに馬券推理・検討の上で混乱をきたすことがないようにするため、また競馬新聞の作り直しや、販売済みの新聞の交換などが発生しないよう、競馬新聞関係者の負担を減らすための目的もある。
再出馬投票なしでの代替(続行)開催が適用される条件として、
前日発売を含め、勝馬投票券の発売前であること
出走予定馬に対する、輸送などの影響が少ないこと
が、挙げられる。
出馬投票注釈・出典
^ 『優駿』2011年3月号、p.166。
主戦騎手(しゅせんきしゅ)とは、競馬における1頭の競走馬の専属騎手を指す用語である。
主戦と簡略することもある。主戦騎手といっても、海外遠征やGI競走などで他の競走馬の主戦騎手として騎乗することもあり、騎手が必ずその競走馬に騎乗するわけではない。主戦騎手からみてその馬を「お手馬」という。
あるいは、ある厩舎で主に騎乗する騎手を、(その厩舎の)主戦騎手と呼ぶ場合もある。以前は、厩舎所属の騎手が、その厩舎の有力馬に騎乗するケースがほとんどだったことから、(平場オープンなどで見習騎手が乗ることに対して)常に騎乗する騎手を主戦騎手と言っていた。
特殊な例としては、馬主が、馬の所属厩舎に関係なく、特定の騎手に騎乗依頼を行うことがあった。「ヒシ」の冠名が付いた馬の主戦騎手であった小野定夫(特定の厩舎に所属していない、所謂フリー騎手でのさきがけでもあった)や、「サクラ」の冠名の馬の小島太などが挙げられる。
主戦騎手の具体的な例
トップジョッキーになると自分が主戦騎手を務める競走馬が同じ競走で出走することもある。当然、この場合はどちらかを選択する必要があるが、過去にあった例として、1998年の毎日王冠(GII)で的場均が主戦騎手を務めるグラスワンダーとエルコンドルパサーが出走した。的場は悩みに悩みぬいた末、グラスワンダーに騎乗することを選択した。結果はグラスワンダーが5着、エルコンドルパサーは蛯名正義に乗り替わって2着だった。
しかしその後、グラスワンダーはその年の有馬記念、さらに翌年は宝塚記念、有馬記念に勝利しグランプリ3連覇を達成。エルコンドルパサーは毎日王冠以降は蛯名が主戦騎手を務めることになり、日本の3歳馬としては初のジャパンカップ制覇や海外に拠点を移して凱旋門賞で2着に健闘するなど大活躍した。ただ、グラスワンダーの現役最後の引退レースは蛯名が騎乗している。
現在では武豊が主戦騎手を務める競走馬が、複数GI競走に出走することがよくある。1998年の宝塚記念でのエアグルーヴとサイレンススズカの選択や、1997年の有馬記念でのマーベラスサンデーとエアグルーヴとの選択、2006年の皐月賞でのアドマイヤムーンとフサイチジャンクの選択などがある(いずれの競走も前競走馬に騎乗した)。GI競走には比較的レベルの高い競走馬が出走してくるため、以前に武豊が手綱を取ったことがある競走馬が多い。
日本の主な厩舎とその主戦騎手
久保田貴士:蛯名正義、田辺裕信
国枝栄:後藤浩輝
昆貢:四位洋文、柴原央明、松田大作、藤田伸二
佐々木晶三:佐藤哲三
鮫島一歩:安藤勝己
白井寿昭:岩田康誠
角居勝彦:クリストフ・ルメール、岩田康誠、四位洋文
友道康夫:岩田康誠、福永祐一
橋口弘次郎:上村洋行、小牧太、武豊(以前は大崎昭一)
藤沢和雄:北村宏司、横山典弘(以前は岡部幸雄)
藤原英昭:岩田康誠、福永祐一、藤田伸二
松田博資:安藤勝己
音無秀孝:北村友一、川田将雅
有名馬と主戦騎手の例
主戦騎手日本
クリフジ:前田長吉
タマツバキ:土門健司
トキノミノル:岩下密政
ダイナナホウシユウ:上田三千夫
ハクチカラ、ハクシヨウ:保田隆芳
ヒカルメイジ:蛯名武五郎
コダマ、シンザン:栗田勝
ヒカルポーラ、リキエイカン:高橋成忠
キタノダイオー、ニッポーテイオー、レジェンドテイオー:郷原洋行
キーストン:山本正司
カネケヤキ、スピードシンボリ:野平祐二
ダイシンボルガード:大崎昭一
タニノムーティエ:安田伊佐夫
ヒカルイマイ:田島良保
タニノチカラ:田島日出雄
ハイセイコー、ダイナガリバー:増沢末夫
イシノヒカル、クライムカイザー:加賀武見
ナスノチグサ、タカツバキ、タケフブキ、タケホープ:嶋田功
ナオキ:佐々木昭次
ロングエース、キタノカチドキ:武邦彦
テスコガビー、カブラヤオー:菅原泰夫
エリモジョージ、インターグロリア:福永洋一
リニアクイン、ミヤマポピー:松田幸春
ホクトボーイ、ヒメカップ、マーチス:久保敏文
テンポイント:鹿戸明
トウショウボーイ:池上昌弘(初代)、福永洋一(2代)、武邦彦(3代)
マルゼンスキー:中野渡清一
サクラショウリ、サクラチヨノオー:小島太
シービークロス、ミスターシービー、モンテプリンス:吉永正人
シンボリルドルフ、ビワハヤヒデ、タイキシャトル:岡部幸雄
ミホシンザン、ウイニングチケット:柴田政人
メジロラモーヌ、アグネスタキオン:河内洋
サッカーボーイ:内山正博(初代)、河内洋(2代)
タマモクロス、ナリタブライアン:南井克巳
アイネスフウジン:中野栄治
ポットテスコレディ、ナイスネイチャ:松永昌博
キングスポイント、ミホノブルボン、チョウカイキャロル、タヤスツヨシ:小島貞博
ライスシャワー、グラスワンダー:的場均
マックスビューティ、マヤノトップガン、フラワーパーク:田原成貴
タレンティドガール、スズパレード:蛯沢誠治
サニーブライアン:大西直宏
テイエムオペラオー:和田竜二
スティルインラブ、ブルーコンコルド:幸英明
ナリタトップロード:渡辺薫彦
ラインクラフト、シーザリオ、エイシンプレストン:福永祐一
スーパークリーク、ディープインパクト、スペシャルウィーク:武豊
ゴールドシチー、テイエムオーシャン、カワカミプリンセス:本田優
メイショウサムソン:石橋守
ヒシアマゾン:中館英二
メジロドーベル:吉田豊
セイウンスカイ:横山典弘
ダイワメジャー、ダイワスカーレット:安藤勝己
ヒシミラクル:角田晃一
ウオッカ:四位洋文(初代)、武豊(2代)
主戦騎手日本国外
日本国外は日本国内とは違い、馬主や調教師と専属契約を結び、主戦騎手として騎乗するパターンが一般的である。
ゴドルフィン:ランフランコ・デットーリ、ケリン・マカヴォイ
アーガー・ハーン4世:クリストフ・ルメール(後)、クリストフ・スミヨン(元)
エイダン・オブライエン厩舎:キーレン・ファロン、ジョニー・ムルタ
ジョン・オックス厩舎:マイケル・キネーン
カラジ:ブレット・スコット