カンパイ
カンパイは、競馬の競走において、公正なスタート(発馬)が出来なかった場合に発生するスタートのやり直しの事である。
カンパイ解説
語源は、日本で居留地競馬が始まった江戸時代末期から明治時代初期の頃、スタートの失敗でやり直しをする際に、外国人のスターターが出走馬に対し「カムバック」(戻ってください)と伝えたのを、日本人が「乾杯」と聞き間違えた事からそう付けられたと言われている[1]。カンバイとも呼ぶ。なおオートレースでもフライングによるスタートのやり直しもカンパイと呼ぶ。
一般にカンパイが発生する事例としては、発馬機の故障および誤作動、あるいは発馬合図前にスタートするフライング行為があった場合に生じることがある。バリヤー式発馬機の時代は、これらの事象は頻繁に発生していたが、現在では、発馬機が自動化(ゲート式)され、かつ性能も向上して故障発生が殆ど無くなった為、滅多に発生しなくなった。かつての地方競馬では、大きく出遅れた競走馬がいた場合に再スタートをさせる事が稀にあったが、現在はそれは認められていない。また、過去には出走全馬がゲートに入る前にスターターが誤ってゲート開扉した為に馬がゲートから飛び出してしまい、この為にカンパイとなった例もある。
カンパイ事例
中央競馬
大レースでの事例としては、1978年の天皇賞(秋)で出走のやり直しが発生している。原因は、パワーシンボリがゲートに噛み付いた結果、当馬のゲートが開かなかった為である。この想定外のアクシデントの直後に行われたやり直しのレースでは、暴走気味に逃げたプレストウコウを最後の直線でテンメイが交わし優勝している。
中央競馬で最後に発生したカンパイは1997年12月20日に中山競馬場で行われた3歳500万円下条件戦で、最後の1頭(1番枠の馬)が枠入りする前にゲートを開いてしまった(最後の枠入りは通常もっとも外枠の馬だが1番枠が最後になったため[2]スターターが気づかずゲートをあけてしまった)ためにやり直しとなった。なお、このレースでは大半の馬がカンパイとなったことに気づかずに600メートルほど疾走してしまい、馬場を1周してしまったベリーウェル、シルキーピンクの2頭が疲労が著しいと認められ競走除外となった(主催者側のミスのため関係者への出走手当ては支払われた)。なお、このレースは1着がエフワンナカヤマ、マチカネシルヤキミの2頭同着となった。
地方競馬
地方競馬では、近年もフライングやゲート故障などが原因のカンパイが希に発生している。著名な例として、当時アラブの双璧と言われたタイムラインとスマノダイドウのゲートが正規の作動をせず大きな不利を受けたが、再スタート故にレースを続行させた結果大惨事となった園田事件がある。
2002年6月19日に大井競馬場で行われた風待月特別は、同じ競走で2回カンパイが発生するという珍事となった。1回目は2頭が、2回目は前回の原因馬のうちの1頭がゲートを潜ってフライングとなった。なお、2回とも原因となった馬は競走から除外された。
2010年12月8日には、船橋競馬場で行われた第4競走C2(六)(七)でフライング発走があり、カンパイが発生。しかし、出走各馬がゴールまで走ってしまい、疲労により出走を予定していた全12頭が競走除外、競走は中止となった。また、勝ち馬投票券は全額払戻(返還)となった[1]。
2011年5月5日、船橋競馬場で行われた第7競走bayfmCUPで、体勢完了の前にゲートが開き、発走委員が真正な発走ではないと判断してカンパイを行った。
脚注
^ a b 「カンパイ」で珍事…レース取り止めに サンケイスポーツ 2010年12月9日
^ 大外枠の馬が先に枠入りすることを希望した場合などは、最内枠の馬の枠入りを最後にすることがある。例として2003年のジャパンカップでは、外の18番枠、17番枠の馬が共に先入れを希望したため、1番枠のタップダンスシチーの枠入りが最後となった。
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