荒尾競馬場 | 競馬予想メルマガ検証!競馬投資の極意とは?(競馬の錬金術師)

荒尾競馬場

荒尾競馬場

施設情報
所在地 熊本県荒尾市宮内出目72番
座標 北緯32度59分23秒
東経130度25分42秒座標: 北緯32度59分23秒 東経130度25分42秒
開場 1928年2月20日
閉場 2011年12月23日
所有者 荒尾競馬組合
コース
周回 右回り
馬場 1周1200m

荒尾競馬場(あらおけいばじょう)は熊本県荒尾市にある地方競馬の競馬場である。廃止時点では熊本県と荒尾市で構成される一部事務組合である荒尾競馬組合によって競馬が開催されていた。オッズパーク加盟競馬場。1928年2月20日開設。同年3月2日に第1回競馬が開催された。当時13億円を超える累積赤字を抱え、経営の続行は難しいとされたため廃止する方針が進められた。2011年12月23日、約9000人の観客がスタンドで見守る中、15時過ぎに行われたレースを最後に83年の歴史に幕を下ろした。

荒尾競馬場 概要

全体的な競走馬のレベルの低さやダートグレード競走をこれまで一度も開催していない、その上3連勝式馬券(2007年度から)やインターネットによるレース実況の配信(2006年度から)などは全国の地方競馬を見渡しても最後発となるなど現状の荒尾競馬の施策については他の競馬場と比較してやや見劣りする点があった。このようなことから全国の地方競馬場の中でもかなり地味な存在であり、売上規模も小さかった。

スタンドは西向きでコースの向こう側は有明海という、海の見える風光明媚の競馬場として名高かった。ただしそれだけに夏場の午後の西日は全国の競馬場の中でも最も強烈であると言われており、リニューアル以前の競馬場の公式ホームページでは女性客に対してUV対策の必要があるという趣旨の文面が掲載されていたほどである。また業務環境の改善のため西日を和らげるべく、実況席と裁決委員室の窓の一部には青いフィルムが貼られていた。

パドックはダート路面の小振りなもの。真ん中に大きな木(楠)があるのが特徴。出走掲示板はチョークに手書きであった。元々フルゲートが10頭だったため、掲示板は10頭分のスペースしか用意されていない。11頭以上のレースの場合は2頭分の黒板を下に貼り付けて表示した。誘導馬がおらず、1枠に入った馬が自動的に誘導馬の役割を果たすという特色もあった。本馬場入場時のBGMは長らく『五木の子守唄』、『田原坂行進曲』と当地に縁のある曲が使われていた。

内馬場には、野球場があり無料で利用することができた(ただし競馬開催日、能力検定実施日などは貸し出しをしなかった)。
元々の開催日程は同じ九州ブロックの佐賀競馬場・中津競馬場と同じく土曜、日曜、月曜で2週1開催が基本であった。

しかし2000年より土日は売上の大きい佐賀で開催し、平日に荒尾を開催して場外発売を充実させる方式へ転換。中津競馬廃止後もこの開催方式が継続されており、九州の2場でローテーションを組んでいて相互に場間場外馬券発売を実施している。またスタンド内にはJRA専用発売窓口が設置されJRAのGI競走開催週は当該競走の他、前日である土曜日に開催される一部の重賞競走も発売される[1][2]。

ファンサービスの一環として特別観覧席は通常500円だが、女性は無料。男性も誕生月であれば無料となり、座布団の無料貸し出しなども行われていた。特別観覧席の一角にはファミリーシートとしてフローリングのスペースも用意されていた。
競馬新聞は「競友ニュース」「ベスト」「ホース」の3紙があるが、日本の競馬新聞の中でもかなりシンプルなレイアウトとなっているのも特徴。予想印は基本1つだけであり、「6本線」と呼ばれる1開催6日分を6本の線で区切った簡素な対戦成績表が掲載されているのが全国的にも珍しい形式となっていた。この6本線は九州の地方競馬独特のシステムであり、佐賀競馬や中津競馬の競馬新聞にも見られるものである。

荒尾競馬場 コース


馬場:1周 1200m 右回り平坦
直線(4コーナーからゴール板まで):220m
施行可能距離:800m, 950m, 1300m, 1400m, 1500m, 1900m, 2000m, 2150m, 2500m
ただし以前は重賞競走で多く使われていた2150mは2004年3月(大阿蘇大賞典)を最後に、また2500mも2000年1月(サラブレッド大賞典)以降、レースの設定がない。

かつては、1640mのコース設定も存在した。スタート位置は3、4コーナーの中間点であった。
最大出走頭数(フルゲート):12頭

荒尾競馬場 特徴

1~2コーナーがきつく、3~4コーナーは緩やかなカーブ形状を持ったコース
現在は日本の競馬では行われていないが、繋駕速歩競走にも使用可能な設計で作られている。
ダートコースに使われている砂は壱岐海底の上質砂を使用している。粒子が細かいため、他の競馬場と比して砂が飛んだ時に人馬にあまり痛みを感じさせない。また、水はけが非常に良いとされる。

荒尾競馬場 発売する馬券の種類

○…発売 ×…発売なし ☆…オッズパークによるインターネット販売のみ
単勝 複勝 枠番連複 枠番連単 馬番連複 馬番連単 ワイド 3連複 3連単 重勝式
○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ☆
※2007年4月14日より3連勝式馬券(3連単、3連複)およびワイドを導入。
※2010年2月2日から五重勝単勝式の発売を開始した。佐賀競馬場と荒尾競馬場のみ購入者が勝馬を選択できる「セレクト方式」を採用していた(他場はコンピュータにより自動採番される「ランダム方式」である)。

荒尾競馬場 アクセス

荒尾競馬場 公共交通機関

JR鹿児島本線
荒尾駅より徒歩10分
西鉄天神大牟田線
大牟田駅より無料送迎タクシーあり
バス
産交バス競馬場前バス停より徒歩5分
西鉄バス大牟田 荒尾バス停より徒歩8分
車 [編集]
九州自動車道南関ICより30分

荒尾競馬場 主な競走

荒尾競馬場 重賞競走

荒尾ダービー(KJ3)(サラ系3歳) – 九州三冠競走1冠目、九州ダービー栄城賞トライアル競走
九州王冠(KJ3)(サラ系3歳以上) – 吉野ヶ里記念トライアル競走
荒炎賞(KJ3)(サラ系3歳) – ロータスクラウン賞トライアル競走
霧島賞(サラ系3歳以上、九州産馬限定、中央・地方指定交流)
九州記念(KJ3)(サラ系3歳以上) – JBCクラシック指定競走、九州大賞典トライアル競走
九州ジュニアグランプリ(KJ2)(サラ系2歳) – 九州ジュニアチャンピオントライアル競走
肥後の国グランプリ(サラ系3歳以上)
門松賞(サラ系3歳)
たんぽぽ賞(サラ系3歳、九州産馬限定、中央・地方指定交流)
大阿蘇大賞典(サラ系、ファン選抜)
アラブ系の重賞競走については2006年度までに全廃、単独でのレースも2007年度限りで終了した。
その他特別競走 [編集]
レディースジョッキーズシリーズ(JRA・地方競馬の女性騎手による競走)
M&Kジョッキーズカップ(岩手・佐賀・荒尾の各地区所属の騎手による交流競走)
JRA2歳認定競走 [編集]
ストロングホース(認定新馬)
ファイナルホース(認定未勝利)

荒尾競馬場 主な競走馬

シルバーブリツト(アングロアラブ)
ダイメイゴッツ(アングロアラブ)
コウザンハヤヒデ(アングロアラブ)
メグミダイオー(アングロアラブ)
ワタリタキオン(アングロアラブ)
オサイチテユーダ(サラブレッド)
カンテツオー(サラブレッド)
スカイジャイアント(サラブレッド)
キサスキサスキサス(サラブレッド)

荒尾競馬場 所属騎手

岩永千明
尾林幸彦
佐藤智久
杉村一樹
田中純
西村栄喜
林陽介
牧野孝光
松島慧
宮平鷹志
村島俊策
吉田隆二
吉留孝司
この他、冬季休業中の岩手競馬から騎手が参戦する年があった。

荒尾競馬場 現状

荒尾競馬場は三井三池炭鉱の閉山などによって地域経済が斜陽化することを見越して、競馬場を存続させるために合理化や売上確保といった経営努力に全国の全公営競技場でも最も早いうちから取り組み、また多くの競馬場で年間数億円の費用を発生させ経営の足枷となっている土地施設賃貸料についても競馬場施設を完全に自前で所有し、土地も3分の2が市有地であるために多額の負担が発生しないという強みを持っていた(高知競馬場では年間3億7000万円、荒尾競馬場は3000万円。競馬場費も8000万円)。

1990年代中ごろに全国の競馬場が続々と赤字転落をしてゆく中にあっても、荒尾は1997年度まで黒字を計上していた。しかし、1998年度に約6億円の単年度赤字を出し、以降も単年度赤字が続いた。

2005年度には約1億3200万円にまで単年度赤字額を圧縮したが累積赤字は2008年度時点で約13億6000万円。廃止に追い込まれた中津競馬の約20億円や新潟県競馬の約66億円ほどではないが、見通しは厳しい状況にあった。2008年から2009年にかけて「荒尾競馬活性化委員会」、2009年5月に「荒尾競馬あり方検討会」がそれぞれ設置され[3]今後に向けての議論が行われた。

経費削減のために2007年後期から賞金が大幅に減らされ、最下級条件競走の賞金が高知競馬と大差ないレベル[4]に下がってしまった。また、JRAの補助がないレースとしては最高額競走は2歳九州地区交流重賞の九州ジュニアグランプリで1着賞金は250万円。3歳重賞の荒尾ダービー、荒尾所属馬のみのレースでは大阿蘇大賞典で両競走の1着賞金は100万円。出走手当は5万~6万円[5]と、賞金規模のわりに比較的高い設定になっていたが、これも2010年8月21日から一律1万5000円の削減が行われ、馬主側が簡易裁判所に調停を申し立てる事態になっている[6]。

荒尾競馬は所属馬が310頭強(2009年現在)と競走馬の不足が慢性化していた。その状況を打開するため2008年(2007年度)の冬季開催では姉妹競馬場提携を記念して岩手競馬より競走馬50頭、厩務員12人、調教師2人、騎手3人が参戦した。荒尾側にとっては競走馬確保によるレース数、1レースの出走頭数増のメリットがあり岩手競馬側は冬季開催ができないため、その間の人馬資源の有効活用、レース出走機会確保のチャンスができるメリットがあり双方の利害が一致した形であった。

馬の輸送費などの経費5000万円は荒尾とNARが負担していた。2009年(2008年度)の冬季開催では熊本県馬主会がホッカイドウ競馬の馬主に依頼をして約30頭の競走馬が参戦していた。ホッカイドウ競馬の競走馬は所属変更はせず、荒尾競馬の調教師に期間限定で管理委託するという形式を採っていた。また前年と同様の形式で岩手競馬からも47頭が参戦した。これらの結果により1月20日、21日開催から3月まで第12競走が施行されることとなった。

2001年に突如廃止され大混乱を来した中津競馬場から厩舎関係者に多くの人材を受け入れた事情もあり主催者も厩舎関係者も一様に競馬場運営に対する危機意識が強く[7]JRAの重賞競走の場間場外発売窓口の場内設置や全国の地方競馬で開催されるダートグレード競走の場外発売、接客施設の改善、ホームページの拡充など現代競馬の最先端に歩調を合わせる訳ではないが時代の潮流への対応は地道に続けており華やかさには欠けるものの等身大の経営を着実に行っている競馬場として一定の評価を得ていた[7]。

2011年8月25日、競馬組合(市と県による一部事務組合)を管理する市が本年度限りで廃止する方針を固めた[8]。前畑淳治荒尾市長が9月の市議会で廃止方針を表明する方向で調整し、9月5日、前畑市長は2011年一杯で廃止することを正式に表明した。これにより、約83年10ヶ月の歴史に幕が下ろされることになった。

同年12月23日の全9競走の施行をもって全ての日程を終了。最終競走となった当日第9競走は「さよなら・感謝・荒尾競馬」と銘打たれ、所属騎手のほぼ全員が出場した他、通常登場しなかった誘導馬2頭も登場し場内を盛り上げた[9]。レース終了後は関係者、騎手、調教師などによるお別れセレモニーが行われ、馬場の一般開放も行われた。この中で前畑市長があいさつし、2012年度末まで場外発売を行うと発表した。なおその後の報道で場外発売は2011年3月末まで荒尾競馬組合が運営し、2012年度は民間委託のうえ場外発を行うとしている[10]。

荒尾競馬場 場外発売所


ニューウェーブ大崎 – 鹿児島県大崎町野方宮ノ下2955
BAOO天文館 – 鹿児島県鹿児島市山之口町7番2

荒尾競馬場 備考

熊本県上天草市(旧松島町)、宮崎県宮崎市(旧清武町)、鹿児島県鹿児島市石谷町に場外馬券売場設置の計画があった。
福岡県福岡市(ホークスタウン内)への専用場外馬券売場(佐賀競馬場、岩手県競馬組合との3主催者合同)の設置も計画されたことがある。だが、これについては福岡市側で選挙の際の政争の具にされるなどしてしまい最終的には当時の市長、山崎広太郎が場外計画に反対の姿勢を打ち出した(他の公営競技施設として福岡競艇場を主催していること、さらに福岡ドームの周辺地域は教育機関が多い「文教地区」であったため地域住民・PTAなどの反発に遭ったことも一因とされる)ため結果として現状では頓挫したとされている。

荒尾競馬場 脚注

^ ただし2010年11月27日のワールドスーパージョッキーズシリーズ開催日は「荒尾所属騎手(当年のWSJS地方競馬代表)が騎乗する」ためとして該当の3競走(東京9・11・12R。すべて特別競走)の勝馬投票券も発売された(出典:今年の荒尾場外では「ワールドスーパージョッキーズシリーズ」をすべて発売!! – JRA公式サイト)。
^ さらに2011年は土曜日の重賞競走の発売対象が拡大されている他、5月21日のテレビ愛知オープン(オープン特別)、6月11日の灘ステークスと6月18日のストークステークスと6月25日の鳴門ステークス(特別競走)、6月12日のCBC賞と6月19日のマーメイドステークス、9月4日の小倉2歳ステークス(いずれもGIII・前日発売も)、8月21日の札幌記念(GII・前日発売も)の発売が行われた(出典:5月21日(土)~6月12日(日)の発売・払戻のご案内・6月18日(土)~7月10日(日)の発売・払戻のご案内・8月13日(土)~9月4日(日)の発売・払戻のご案内 – いずれもJRA公式サイト)。
^ 荒尾競馬あり方検討会について(荒尾市ホームページ)
^ 最下級の1着賞金10万円、2着2万5000円は高知競馬より高いが3着1万円、4着3000円、5着2000円は全国最低である。また、出走頭数が6頭以下の場合5着賞金はなかった。
^ 同程度の賞金規模である高知競馬の出走手当は2万7000円。ただし、現在は一時的に3万2700円に増額されている。
^ 存廃正念場の荒尾競馬、出走手当引き下げで大揺れ
^ a b “高知競馬というお仕事14 =第3部= 夢の跡流浪記”. 高知新聞夕刊 (2003年2月8日). 2008年8月5日閲覧。
^ 赤字体質の改善難しく…荒尾競馬が年度内に廃止へ スポーツニッポン 2011年8月26日閲覧
^ 荒尾競馬、83年の歴史に幕…最古の地方競馬 読売新聞 2011年12月24日閲覧。なお最終レースはフルゲート12頭立てであり、もう1人の所属騎手で当日第6競走で最後の騎乗を終えた西村栄喜騎手がもう1頭の誘導馬に乗った。
^ 荒尾競馬83年の歴史に幕 ファン9千人大声援 熊本日日新聞 2011年12月24日閲覧

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