ディープインパクト 走る時の特徴
ディープインパクト 走る時の特徴
装蹄師の西内はディープインパクトの蹄鉄の減りがほかの馬に比べて遅いことを証言している。 実際、エアシャカールやアグネスワールドが2週間使用した蹄鉄とディープインパクトが3週間使用した蹄鉄を比較すると、ディープインパクトの蹄鉄のほうが減りが少なかった。西内はその理由について、地面をがっちりと捕まえるディープインパクトの走り方を挙げている。 西内によれば、本来競走能力の高い馬は蹄鉄の減りが早いのだが、ディープインパクトの場合はそのような走法のために摩擦が少なく蹄鉄が減りにくいという。 心肺機能がほかの馬より優れているのも強さの一つと考えられている。 まず、心拍数が最大になったときの血液のスピードを「VHRmax」(単位はm/s・メートル毎秒)、ゴール直後から心拍数が100を切るまでの時間を「HR100」といい、前者は持久力を、後者は回復力を示すものである(前者は数値が大きければ大きいほど、後者は数値が少なければ少ないほどよい)。3歳以上の馬のVHRmaxの平均は14.6であるのに対し、ディープインパクトはデビューの時点で16.3を示した。 HR100も一般的な3歳馬は10分以上かかるが、皐月賞のときにディープインパクトが記録したのは2分42秒であった[72]。 走り方も無駄がなく効率的なものとなっている。 JRA競走馬総合研究所が菊花賞のディープインパクトの走りを研究したところによると、武豊の「走っていると言うより飛んでいる感じ」という言葉に反して、ディープインパクトは4本の脚がすべて地面についていない時(エアボーン)の時間がほかの馬の平均である0.134秒よりも短く、0.124秒だった。しかし、その間の移動距離は長く、ほかの馬の平均が2.43メートルであるのに対し、ディープインパクトは2.63メートルだった。 同研究所の高橋敏之は、エアボーンの時間の短いほうが無駄な力を使わず、空気抵抗も少ないため、効率がいい走法になっていると結論付けた[75]。さらに、2本の脚が同時に地面に着いている時間が少ないことも指摘し、このために着地時にスピードが落ちにくくなるとも述べている。
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