ディープインパクトの凱旋門賞
ディープインパクトの凱旋門賞
ディープインパクトは、凱旋門賞の行われるフランスに出発する前に、2006年7月2日にマイクロチップが埋め込まれた[27]。これはフランスでは2006年からすべての出走馬にマイクロチップを埋め込むことが義務付けられているからである。日本では2007年に産まれてくる産駒から個体識別のためにマイクロチップを埋め込むことが義務付けられたが(2006年に産まれた産駒や現役馬は順次導入)、ディープインパクトはこれに先立ち日本産馬としてはマイクロチップの埋め込み導入第1号となった。
ディープインパクトは8月2日から美浦トレーニングセンターに滞在して検疫を受けた。そして8月9日、凱旋門賞出走のために帯同馬のピカレスクコートとともに出国し、現地時間9日午後2時56分にフランスに到着した[27]。その後はシャンティー競馬場の隣の調教場にあるカルロス・ラフォンパリアス厩舎に滞在し、おもにそこで調整された。9月13日には凱旋門賞が開催されるロンシャン競馬場でも調教が行われた。 10月1 日の凱旋門賞は、前年の同競走の優勝馬ハリケーンラン、前年のブリーダーズカップ・ターフの優勝馬シロッコ、そしてディープインパクトの古馬3頭が「三強」を形成した。直前の各ブックメーカーのオッズではこの3頭が上位人気を占め、中にはディープインパクトを単独で1番人気に推すところもあった。この3頭と対戦するのを他陣営が嫌ったためか[30]、レースは8頭という史上2番目の少頭数で行われることになった。それまで欧州調教馬以外勝ったことのない凱旋門賞だが、現地のメディアやファンからは「今回はディープインパクトに勝たれても仕方ない」という諦めムードさえ見られた[31]。ロンシャン競馬場内では、日本人がディープインパクトの単勝馬券を多数購入したため、一時は1.1倍という断然の1番人気となった(最終的なオッズは1.5倍)。 レースでは好スタートを切り、今までの控える競馬とは違い道中2~3番手でレースを進め、ゴールから300メートル地点でいったん先頭に立ったものの突き放すことはできず、残り100メートル地点でレイルリンクに、さらにゴール直前でプライドにも交わされて3位入線に終わった。敗因として武豊は「直線を向いてからハミを取らなかった。ギアが一段上がらなかった」と語っている[33]。そのほか競馬関係者もこの敗戦を分析し、元騎手の岡部幸雄と柴田政人は斤量とヨーロッパ特有の重い馬場を敗因として挙げ、さらに岡部は現地のレースを1回経験させておいたほうが良かったとの見解も示している[36]。また、ライターの江面弘也はフランスのアンドレ・ファーブル厩舎の3頭[注 10]に囲まれながらレースを進めざるを得なかったことを指摘し、ディープインパクトは「『なにをしてでも勝たなければいけないフランス』に負けた」としている
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